

■症例
追跡調査は、2005年9月から2008年2月に日本獣医生命科学大学付属動物医療センターのリニアック(4MV-X線直線加速器)を用いて低分割放射線治療を行った、鼻腔内悪性腫瘍を伴う犬38頭を対象としました。年齢の中央値10.5歳、平均値9.6歳でした。
■組織診断
腺癌58%22頭、起源不明肉腫13%5頭、扁平上皮癌11%4頭、その他18%7頭でした。
■治療法
低分割放射線照射として、1回線量7.9~9Gy、中央値8Gy、3~4方向照射、総線量16.2~32.4Gyで週1日、合計4回照射を行いました。38頭中7頭は放射線治療前または後に外科による減容積手術を実施しました。
■結果
生存期間(照射開始から死亡または最終確認日まで)の中央値は511.5日、1-、2-、3年生存率は、60.53%、23.68%、10.53%でした。無再発期間(PFI)の中央値は287.5日、1-、2-、3年PFIは44.74%、13.16%、5.26%でした。
■放射線障害
急性障害は73.7%、38頭中28頭の症例で認められました。皮膚障害として脱毛47%、色素沈着34%、糜爛・紅斑21%。眼球付近の障害として眼脂58%、結膜炎29%、充血18%、白内障5.3%、眼瞼痙攣2.6%。口腔内の障害として口内炎5.3%が認められました。
晩発障害は6ヶ月以上追跡できた症例27頭で調査し、51.85%の症例で認められました。内訳は白内障30%、眼脂15%、糜爛・紅斑7%などでした。追跡期間中に、骨壊死、神経壊死など重篤な晩発障害は認められませんでした。
■統計解析
ログランクテストを用いた単変量解析では、放射線治療開始日に11歳未満であった症例と11歳以上であった症例では、生存期間に有意差が認められました。
コックスプロポーショナルハザードモデルを用いた多変量解析では、生存期間やPFIに相関する予後因子は認められませんでした。
今回の統計解析では、11歳未満の症例の方が生存期間が長い傾向があったものの、組織型、犬種、性別などが予後に影響を与えていないという結果となりました。